むくみ

1,診察

[1]主訴の問診

【主訴の状態】

①朝起きたら顔が浮腫んでいた。

②足が浮腫む

③腎炎、またはネフローゼで浮腫む。

④悪寒、発熱、腰痛があれば腎盂腎炎の可能性がある。

⑤微熱が続いている場合は腎臓疾患の可能性がある。

2,証の決定

脾虚熱証

[1]病証

①急性症状があるときは浮腫と小便不利が主症状である。

②下痢。

③口渇があり食欲があれば治りやすい。

 

[2]切診

【切経】

①脾経、腎経、膀胱経に圧痛がある。熱が多い時は肝経にも圧痛が出ている。

【腹診】

①心下の中脘から巨闕にかけて抵抗がある。

【背診】

①脾兪から腎兪にかけて倦怠感がある。

 

[3]脈診

①沈、細で滑の時は血圧が高くなっている。

②全体に沈、弦で硬い。

③浮いて有力なら治りやすい。

④左寸口と右関上が虚しているが、時には右関上と左尺中が虚している。

⑤急性であれば脾虚熱証で治療する。

腎虚熱証

[1]病証

①慢性の腎臓疾患がある。

②妊娠腎の既往症があり、中年になって蛋白尿、浮腫、小便不利が出てきた。

③糖尿病から腎臓疾患になっている。

④頭痛、眩暈、動くと息切れや動悸、不眠、口渇、小便自利、夜間排尿、足裏煩熱、腰痛がある。

⑤手術後の下肢や上肢の浮腫。

 

[2]切診

【切経】

①腎経に圧痛がある。

【腹診】

①少腹不仁がある。

②心下の巨闕周辺に抵抗がある。

 

[3]脈診

①全体に大、重按で虚。左尺中と右関上が虚している。

②全体が革脈であれば腎臓に熱が内攻しているので難治。

3,治療

[1]本治法の治療穴

【脾虚熱証】

①急性であれば大陵、太白の補法。

②蠡溝の瀉法、交信の深刺。

【腎虚熱証】

①陰谷、然谷、復溜、尺沢の補法。

②陰陵泉、足三里を併用。

[2]本治法補助穴

【腹部】

①水道、四満、維道、石門、気海、陰交、京門。

【背部】

①脾兪、胃兪、大腸兪、小腸兪、膀胱兪、膈兪、胃倉、胃舎、腎兪、白環兪。

[3]標治法の治療穴

【浮腫】

①臍の上下左右に施灸。

【蛋白尿】

①交信に多壮灸。慢性の腎臓病で蛋白が出ている人によい。

【小便不利】

①三焦の気が巡れば小便がよく出るようになる。委陽、飛陽の補法。

【その他】

①透析患者、手術後の浮腫には接触鍼で施術する。