不妊症・つわり

不妊症

つわり

妊娠中毒症

不正出血

逆子

1,診察

[1]主訴の問診

【主訴の状態】

①不妊症ー肝虚寒証か脾虚肝実証。

②つわりー脾虚熱証で上焦の熱と水滞。

③浮腫が起こり血圧が高いー脾虚熱証から腎・膀胱の熱。

④貧血ー脾虚証。

⑤逆子ー膀胱経実。

⑥風邪ー肺虚太陽経虚熱証。

⑦母乳が出ないー脾虚熱証から小腸経熱。

⑧産後の発熱ー脾虚肝実熱証。

⑨流産しかけているー肝虚寒証。

⑩産後の脱毛ー腎虚熱証。

2,証の決定

肝虚寒証

[1]病証

①月経中も含めて下痢しやすい。

②月経が長い。

③痩せて手足や全身が冷えやすい。

④妊娠しにくいが妊娠すると流産しやすい。

⑤流産経験者が多い。

 

[2]切診

【切経】

①肝経、胆経に圧痛がある。

【腹診】

①下腹部が軟弱で冷えている。

②回盲部に圧痛がある。

【背診】

①膈兪に圧痛がある。

 

[3]脈診

①沈、細、濇で重按すると左関上と尺中が虚し、右関上は重按しても虚さない。

②疲れると数脈になりやすい。

脾虚熱証

[1]病証

【つわり】

①吐き気、嘔吐、唾液の分泌が多くなる。

②嗜好が変わる。臭いに敏感になる。

③通常は5か月目位に治まる。

【妊娠中毒症】

①小便少、下肢の浮腫、高血圧、蛋白尿。

 

[2]切診

【切経】

①妊娠中は脾経や肝経に圧痛が出やすい。つわりや浮腫があれば膀胱系も張っている。

②妊娠中毒症であれば交信に圧痛がある。

【腹診】

①妊娠中は腹診はしない。

【背診】

①乳腺炎や乳汁不足であれば肩凝りが顕著である。

 

[3]脈診

①妊娠中は滑、やや数。

②妊娠中に弱脈や遅脈になると流産する。

脾虚肝実証

[1]病証

【不妊症】

①妊娠しにくい。

②便秘がち。

③小便自利の傾向がある。

④食欲はある。

⑤足が冷える。

 

[2]切診

【切経】

①肝経に圧痛がある。

【腹診】

①下腹部全体が硬く、表面は冷えている。按圧すると圧痛がある。

【背診】

①大腸兪周辺が硬く、仙骨部分に硬結がある。

 

[3]脈診

①沈、濇、細で分かりにくいが、重按で左関上は実。

肺虚太陽系虚熱証

[1]病証

【妊娠中の風邪】

①汗が出て悪風、発熱。

②頭痛、肩凝りがある。

③食欲がなくなると脾虚熱証に進んでいる。

 

[2]切診

【切経】

①肺経が虚している。按圧すると気持ちよい。

【腹診】

①参考にしない。

②脾虚熱証になると中脘に抵抗が出てくる。

【背診】

①肩背部全体が薄く張っている。

 

[3]脈診

①浮、緩、数。

腎虚証

[1]病証

【難産・逆子・脱毛】

①難産は歩くことで解消される。

②産後に脱毛が激しくなる。

 

[2]切診

【切経】

①三陰交、至陰に圧痛がある。

【腹診】

①妊娠中は腹診をしない。

②脱毛している場合は下腹部の胃経が引きつっている。

【背診】

①難産、逆子は背診を考慮しない。

 

[3]脈診

①尺中の脈が浮いてくると出産が近い。

3,治療

[1]標治法の治療穴

【不妊症】

①肝虚寒証なら本治法の他に三陰交、関元、石門、気海の透熱灸。

②脾虚肝実証なら本治法に加えて下腹部、仙骨の硬結に深刺しして瘀血を取り除く。三陰交は多壮灸。曲泉、血海の瀉法。

【つわり】

①内関、公孫の他に飛陽を補う。飛陽の皮内鍼もよい。

【妊娠中毒症】

①大陵、太白の補法。交信、三陰交の透熱灸。

②妊娠中に腰部深刺しは禁忌。接触鍼か知熱灸。

③痔は孔最の灸。便秘には大陵、神門、太都の補法。

【難産と逆子】

①三陰交と至陰の透熱灸。三陰交は30壮。至陰は3~10壮。

②三陰交の灸は4か月目から。

③至陰の灸は臨月に入ってから。